20111122

ブラジル渡航レポート Vol.28

ブラジル渡航レポート

千葉支部 藤嶋文彦


今回が初めての渡航ということもあり、ブラジル滞在中は出会い・食事・レッスン・その他にも初めてのことが多かった。また、レッスン以外の時間もカポエイラに触れる時間が多かったが、言葉が話せなかったのが悔やまれる。でも、ポルトガル語が話せないながらもジェスチャーで伝えたりシチュエーションから何となく理解したり、話せないなりに充実した時間が過ごせたと思う。


●楽器
ビリンバウの音色が聞こえてきたので見に行ったら、次々に人が集まってきて最終的にはホーダを作り楽器の演奏を開始。
みんなが順番にリードを歌いコロを返す。リードを歌っているときは大きくて楽しそうなコロにつられて気持ちが盛り上がり、コロを返しているときはリードにつられて気持ちが盛り上がった。リードとコロがお互いに盛り上げあってホーダのテンションもどんどん上がっていった。ホーダでのコロの大切さを改めて感じたときでした。
歌詞が分からないコロは、それっぽい発音でごまかしたりもしてしまいましたけど。


●筋トレ
ベンチプレスとダンベルを使って筋トレを開始。
他の人と同じウェイトだと重すぎるので軽くしてもらい、肘の確度や動かす方向等をチェックしてもらいながら実施しました。ウェイトが重過ぎたり、限界に達するとつぶれてしまうので必要な言葉を必死で覚えました。
また、誰かが筋トレを鏡の前で始めたら、いつのまにか全員が鏡の前で自分のフォームと筋肉を確認しながら筋トレしていた。バチザドの打ち上げで筋肉を見せるはめになったときは、貧素な筋肉が恥ずかしかった。日本でも鍛えねば!

覚えた言葉
malha(malhar):筋トレに誘われたときに言われた
tira(tirar):ウェイトを外して欲しいときに使った
ajuda(ajudar):限界でウェイトを上げられなくて、助けて欲しいときに使った




●レッスン&自主練
女性がバチザドの準備で忙しく男性だけのレッスンとなったときがあり、二人組で攻撃される側のときに普段(日本での同じ帯同士)の二人組みとの違いを少し感じた。
攻撃をするときに相手への遠慮がない。攻撃側の練習のはずが、受け側も気が抜けず自分がどやって対処すべきか考えていました。普段のレッスンでも“相手を倒す気で技をかけないと相手のためにもならない”といわれたことがあり、まさにその通りだと実感した。
レッスン後の自主練でも、蹴りの高さや連続攻撃のタイミングを教わったり、魅せ技を教わったりと充実した時間を過ごすことが出来ました。
また、子供達との絡みも楽しくて、最近やんちゃな部分が欠けてきたと反省させられると同時に、『チャレンジしなきゃ!』というモチベーションも子供達に上げてもらいました。

覚えた言葉
vai:技を見せられた後、試すように促されたときに言われた



●食事
とにかく美味しくて食べ過ぎてしまう。
パンにチーズとジャムを挟んだもの、カリフラワーのスフレ、フルーツ、アサイ、キアボ・コン・ガリーニャ等々。

覚えた言葉
me da :〔料理〕とか手が届かなくて、取って欲しいときに使用
concha:おたま




●緊張と好奇心が要り混ざり、多くの人に迷惑をかけたかもしれませんが、自分にとっては実り多き時間となりました。


Besouro

20111111

ブラジル渡航レポート Vol.27

ブラジル渡航レポート

神奈川支部木内


ブラジルから無事帰国しました。

日本に帰って3日もすれば、ブラジルでの日々が遠い夢の世界だったよう。

それだけ、毎日きらきらしていて、長くて短い日々でした。

日々、みんなと生活して、ほんの少しだけどブラジルの人たちの生活を垣間見ることによって、今までなかった自分がつくられたり、気づいたり、なくなったり、します。
本当は普段の生活でも同じことがいえるんだけど、ブラジルという非日常を体験することによって、色濃くそれが浮かび上がってきます。

やっていることは日本と一緒。
毎日ご飯食べて、寝て、カポエィラの練習をして。(ブラジルにいる間は仕事はしていないけど)
でも、日本とはちがう。

生命力の強さと、音楽とカポエィラが日常にすごく溶け込んでいる印象をうけました。

Mestre Decioが、ここで子供たちがまっすぐと正しく育つことは非常に難しい。カポエィラを通して子供たちを正しいほうへ導いていきたい、と言っていた意味が、日本にいた時よりもぐっと身にはいりました。ここ、イタグアイの子供たち、大人たちにとって、カポエィラってどんな存在なのだろう。当たり前ですが、日本とは違う、ということを強く感じました。

ブラジルではブラジルのカポエイラがあって、日本には日本のカポエイラがある。
でも、同じカポエイラを通して、コニュニケーションができるのは本当に素晴らしい経験。


ブラジルに行って、上手くなって、強くなって帰ってきたの?

ときかれたら、答えはNO。

でも、沢山のものを教えてきてもらって、感じてきて、受け取ってきたことは確かだから、そこからまた変わっていくのだろう。

今回、つたない私のポルトガル語でMestre Decioに

強さってなんですか?

と質問したところ、私が悩んでいた意図をばっちり受け取ってくれてかえってきた答えに思わず涙しそうになってしまった。
Mestreはなんでもお見通しです。


monitoras
むかって左がmaary 右がsayonara

maaryのお母さんが私と歳が2つしか違わなくて、きゃ~という感じでしたが、2人とも沢山遊んでくれて、お話ししてくれた。
そして、たくさん教えてくれた。
ほほーと思ってしまったのが、maaryが私に教えてくれたジンガと後日Mestre Vagalumeが教えてくれたジンガが全く同じだったこと。教え方、言っていることが全く一緒で、やっぱり親子だわあ、と感心してしまった。

ジンガ1つとってみても力強く、技もきれいなだけでなく、ルタとなっていきていること。

日本で先生方に、生活の全部がカポエィラなんですよ、と言われてきた意味がわかります。
ブラジルの女の子たち、強いです!そして優しくて賢い。
私もそうあるよう、していこう。

最後に、batizadoで沢山のMestre、Mestore DecioのMestre、Mestre Gioreにお会いできたことに感謝します。
日本では上の世代の方にはなかなか会えない環境です。
繋がりと歴史を肌で感じられました。
赤ちゃん、子供、大人、歴史を築いてこられたご年配の方、同じ空間に揃っているということ。
その中で、日本人である私たちがいるということ。


最後に最後に
サムライ先生、チグリ先生、ありがとうございます。
先生や皆さんが築いてこられたものを大切にしたいと思います。
candeia、pantera, alecrin, besouro みんなありがとう。みんなのおかげでこの旅が何倍にも楽しいものとなりました。
これからもよろしくお願いします。

20111110

ブラジル渡航レポート Vol.26

ブラジル渡航レポート

東京支部 松本千晴


今回2回目となるBrasil渡航は
私が目指すカポエリスタへのヒントをたくさん得られた渡航となった。
その中でも特に心に残る大事なヒント10をお話させて頂ければと思います。


行く間の飛行機でContra Mestre Tigreに言われた一言から私のBrasilでのdica(ヒント)探しは始まった。

[brasil本部にはビリンバウ アタバキ 歌 ジョゴ どれをとっても各々スペシャリストがいる。
もちろん彼らがホーダに入ると華がさく。空気が一変するのだ。
それは彼らの日常のポテンシャルがホーダを豊かにしているのだ。
カポエラだけを出来れば良い訳ではない日常の人生が豊だからこそ、それがホーダに表れるのだ]

沢山のスペシャリスト達に出会い、そして何より偉大なMestre Décioと一緒に過ごす2週間
今から沢山の豊な時間をともにする。自分の中にあるアンテナを最大限に敏感に張り巡らせて過ごそうと思った。


dica1.interruptor*スイッチ

brasilに来ると毎日良い音を耳にする。又1人が楽器を持つとまた1人と増えてゆく
しまいにはダンスまで入って来て朝までつづく事もある。
良いものを聴いているせいか、日本では出来なかったリズムが出来るようになったりもする。
何よりやっていて楽しい。入って来た音達が中にあるまま外に出そうとするからだろ。
ずっと体全部のスイッチがオンのままだからだろう。1日中カポエラに関わる事だから
頭の中がきりかわらないまま上手くできるのかもしれない。
入って来た物達が忘れる前に弾きたいと思う前に外に出る。
スイッチオンのままでいる事は上手くなる最良の手だと思う。




dica2.linguagem*言語

見かけない顔の人には話かけなかったりそれが外国人ならなおさらだったりする。
ましてや言葉が通じない相手ならなおさらだ。
しかし、ココにはそれが無い。会った人には全員握手をし挨拶をかわす。
言葉がわからなくたっておかまいなしで話かける。
分かるまでとことん付き合う。
大好きな事が一緒なら大丈夫、だってカポエラ好きだろ?と言わんばかりだ。
ジョゴをすれば君の事は何でも分かるという感じだろう。
五感をとことん使って生きている。体のすべてを使って分かろうとしているのだろう。
言葉にとらわれる必要は無いと言う事なのだろう。


dica3.português*ポルトガル語

しかし、ポルトガル語は話せたにはこしたことはないとも思った。
今回沢山のMestreに会う事に恵まれたBatizado,Mestre Décioとのたわいもない話から伝わる想い。
誰かの力を借りなければ理解できないというもどかしさと、誰かのフィルター越しにしか見れない想い。
自分の想いを伝えるのももちろんそうだ。
目の前に居るのに何てもったいないのだと思う。
ただ一緒に居るだけで分かる事はもちろんある。
しかし言葉にして始めて理解できる事もある。もっとポルトガル語を勉強しなければ。



dica4.grande Mestre*偉大なるメストレ

Mestre Décioの偉大さは日々生活を共にするだけで伝わってくる。
ふとした会話の中の1コマでもそうだ。
道を歩けばMestreに話しかけ握手を求めてくる人達がいる。
沢山のMestreに出会った時にも「彼は立派だ、信じてついて行きなさい」と言われた。


Mestre Samurai Contra Mestre Tigreから沢山の偉大なる話を聞いた。
始めて私がMestre Décioにあった時感じた圧倒的な魅力の謎が少しづつ分かってきた気がした。
知れば知るほどこの人のもとで学びたいという想いと、この人に近づきたいという想いになるが
知れば知るほど遠い道のりだともおもい知る。
Mestre Désioの為に何かしたい!!という想いを見たり聞いたり感じたりする事があるが
それはそのせいだろうと気づかされる。
Mestre Décioにこの事を伝えると、
「そう想う者がいてくれるから私はMestreでいれるのだ、だから私はもっと先を歩こうとするのだよ」と
Brasilにいると心も体も自由になる。それはMestreの大きな愛を感じることができるからかもしれない。
Contra Mestre Tigreが言っていた
「偉大なるMestreのグループにいれること。そして1つのピースとして歴史を共に刻む事が出来る事が何よりも嬉しい」
Mestre Samurai を始め様々な人が道を造ってこの関係を築いてくれたから今私はBrasilにいて様々なことを学んでいる。
多くの先人が築いた信頼があるからだ。
私も1つのピースになりたい。


dica5.Cantora-sam

カントーラさんのパワーは凄い!本部のBatizadoカントーラさん無しには始まらないし、終わらない。
Batizado近くなると平均睡眠3〜4時間。なのに毎食ご飯は手作りだ。
今回始めて知った事は昇段式で頂く帯の話。
色づけはMestreが主に手作業だという話は前から知ってはいたが
1本1本長さを切って編む所から始まっているという事だ。
それはカントーラさんが主体になってやっていて、もちろん日本支部のもだ。
帯を頂くとその重さを噛み締めるが、そうした想いが沢山入った帯だからこそ感じるのだろう。
沢山の仕事を抱え難無くやり遂げすべての手配と配慮を行う。
流石はMestreのお嫁さんだ。まさに おかみさん!! 
やっぱり すごい。


dica6.acreditar*信じる

「もっと強いカポエラをしたい。自分は弱いと思う」
という問いにMestre Décioの答えに私は、はっ!とした。
「誰が弱いと言ったんだ。弱いかポエラをしているなんて一度だって思った事はない
 自分自身で弱いと決めつけただけじゃないか。皆強いカポエラをしているぞ」
自分を信じる事が何よりも大切でそれが全てのことを可能にする力なのだ。
「自分の先生を信じてジョゴをしなさい。レッスンで学んだ事、見た事、感じた事をホーダで出すだけだ」
とも話していた。
行きなれないホーダに行くといつも感じる事は(空気に飲まれる自分がいる)という事だ。
しかしそれは先生をそして自分を信じていないからだろ。アンゴラにしろヘジョナウにしろ何のスタイルだとしても
コハダンジコンタスのジョゴをすれば良いだけなのだ。
いつも心の真ん中にMestre Décio がいる。教えくれた先生が自分の中にいる。学んだ全てが自分を造ったのだ。
目の前の事にとらわれず信じて進むだけなのだ。

「お前の中には何がある?何を持ってジョゴしているのか?」

次回は真っすぐにこの問いに答えたい



dica7.energia de mão手のエネルギー

ここでは分からないとすぐに手が差し伸べられる。
レッスン中はもちろん自主練でもだ。
先生はもちろん出来る人が出来ない人に、帯が上だろうが下だろうが関係ない。
分かる人が分からない人に教える、教えてと発信する前に手が差し伸べられる。
言葉が分かろうが分かるまいが関係無いといった感じだ。
なぜそういった環境が生まれるのか、それはエネルギーが繋がっているからだろう。
レッスンに関わらず皆、出会うと必ず全員と握手と挨拶をする。帰るときも同じだ。
そして必ずギュッと握手の最後は握る。パワーを繋げた気分だ。
これを毎回しっかりするから皆のパワーがしっかりと繋がっているのかもしれない。





dica8.Motivaçãoモチベーション

1つ1つのレッスンを流さずに受けているという事を強く感じる。
レッスン中に失敗したら必ずやり直しをその場でする。
二人組ならば真剣に相手に立ち向かう。
常にやり切り、出し切っているのだ。
目や耳だけではなく全てで相手を感じて相手に本気で挑む。
出来ないとか、当たったらとか、そんな事に捕われることなく打ち込むパワーを見せつけられた気がした。

dica9.enfrento向き合う

Brasilに一緒に来た仲間といろいろな話をした。
思っている事、感じた事、考えている事
帯が違う仲間だからこそ見えるもの感じるものが皆違うし共感する所もある。
想いもつかない悩みや考えや答えがある。
それらを話、共に考え悩む事は自分自身を振り返り見つめる1つの物差しになる。
今回のメンバーだからこそ感じ取れた世界に感謝したい。


dica10.comumあたりまえ

本部の生徒はうらやましい!と思っていた
毎日Mestre Décioから重要なカポエラの話を学べレッスンを受け想いを受け取れる。
しかし日本支部にいるから見れる事、分かる事がある。
この2週間私は体中のアンテナを張り巡らせて過ごした。
多分この間ココにいつも来ている生徒以上に様々なことを吸収しただろう。
それはすべて自分が日本人だからだ。
日本人だから分かる事、日本から来たから見えるものがある。
Brasilの生徒に「Mestre Samuraiのレッスンを毎回受けられてうらやましい」といわれた。
日本の先生達だから伝えられる事がある。
当たり前に思っている事が裏側から見てみると凄く恵まれている事なのだ。
あたいりまえが、あたりまえである事がどんなに大変で大切な事なのだと改めて思った。



この10のdicaは今の私のフィルターを通して感じたものでしかない。
今の帯だからこの歳だからそしてこのメンバーだったから分かった事だと思う。
1つ前の帯だったら、1つ後であったら、違うメンバーだったら…
きっと違う発見があっただろうが、今回のような発見は出来なかっただろう。
Mestre Samurai,Contra Mestre Tigreをはじめ今回一緒に行ったメンバーに感謝したい。
そして何より暖かく迎えてくれたMestre Décio Cantora-sam 本部の皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。

ここまで読んでくださった方に私が得たBrasilでのdicaが少しでも何かのヒントになれば幸いです





alecrim

20111108

ブラジル渡航レポート Vol.25

ブラジル渡航レポート

日本支部代表池村 Mestre Samurai

今回、リオデジャネイロ本部第17回昇段式参加にあたり、代表池村、千葉支部代表中村、生徒の同行者は、伊財、柳生、木内、松本、藤嶋の7名がリオデジャネイロへ渡った。

昨年に引き続き、ブラジル本部昇段式の時期に。
10/17~11/2と、現地滞在は二週間と短かったが、昇段式参加が目的であるので、充分な期間だ。
個別に渡航レポートを書いて貰うが、渡航した者それぞれが見た物、感じた物が違うので面白い。

さて、私は8度目のブラジルになる?のか、恐らくそれくらい来ているが、やはり飛行機の時間は長い。
まあ年々機内サービスが充実してきているので、映画などずっと観ながら行くことも出来る。

実際行きで5本、帰りで5本と、デルタ航空にはお世話になった。
単純に20時間は観ていた事になる。

目は充血してしまいましたが、なかなか楽しい時間だったように思う。
さて、今回のブラジル滞在での日記は個人ブログの方へ書いたので、日々の事はそちらで。

その記事はこちら Samurai日記


ここでは写真を交えながら今回の渡航で感じた事等を振り返ってみる。

今年はアメリカンエアーラインの金額がギリギリまで出ず、久しぶりにデルタ航空で行く事になった。


どこの航空会社を使うにせよ、必ずマイレージポイントを貯める事を忘れずに。ブラジル往復だと2万マイルほど貯まるので、かなりお得だ。

自宅を17日朝10:00出発

館長宅に18日11:30頃到着(サマータイム)

自宅から館長宅まで36時間ほどかかった事になる。1日半かかる訳だ。大変だ。

そこまでしてブラジルに行く価値はあるのか?と言う質問は必要無いだろう。

もし、その国の文化を習おうと思えばその国に行くのが早いからだ。当団体は毎年ブラジルから館長が自ら日本に訪れてくれるので、そう言った意味では身近に本場のカポエイラを感じる事が出来る。

ブラジルに行けなくても日本でブラジルと同じ稽古が受けれる訳だ。


今年の昇段式には、日本支部から7名、グァイーラ支部から1名、フォスドイグアス支部から1名の参加だった。

昇段式は22日(土)

それまでは普段の稽古とは別に、昇段式の準備で慌ただしくなる。
他支部からの参加者は、準備を手伝うとなると香ってが分からないので難しい。なので、当日使う楽器のメンテナンスと言う事でまずはくたびれたカシシの修理を。



バケッタを新しく竹から切りだす。


バッケッタの切り出しは、道具があるものでやるのでかなり苦戦するが、カシシのメンテナンスは日本から持って行ったキリやニッパーが役に立った。

細かい作業の道具は、日本製がやはりしっくりくる。

こういった作業を通じ、物を大事にする心を養います。自分が手掛けた物には愛着が産まれる。とても大事なことだ。

昇段式後の打ち上げは、自分達で料理を作り、とにかく節約します。
下ごしらえは女性陣が手伝っていました。

この時期の渡航は、ブラジルでの昇段式と日本の昇段式の違いが物凄く分かる。
地域に根差し、皆で手作りするブラジルの昇段式、東京での昇段式は都会らしい違った側面を持つと言う事。どちらも良い所、悪い所は色々。

さて、今年の昇段式はたくさんの他団体のMestre達がお祝いに駆けつけてくれた。
順不同
Mestre Orlando Giori(Mestre Decioの師)
Mestre Mentirinha
Mestre Polaco
Mestre Malhado
Mestre Chita
Mestre Bocka
Mestre Chiquinho
Mestre Korvinho
Mestre Michel
Mestre Jorginhp toto
Mestre Capa
Mestre Arraia
Mestre Preguiça
Mestre Robalo
Mestre Tota
Mestre Ninguem
Mestre Palhaço
Mestra Thiara
Mestra Cleide

Accc
Mestre Décio
Mestre Vaga lume
Mestre Mestiço
Mestre Dunga
Mestre Samurai
Contra Mestre Chocolate
Contra Mestre Tigre
Professor Queixado
Professor Varente
Professor Gafanhoto
Professor Bahiano
Professor Piedade
Professor Sobrancelha
Professor Morejo
Professor Jesus
Professor Sebora
Professora Cantora
Professora Ousada

これだけの人数がステージに上がると、Rodaは完全にMestreのコントロール下になり、Professorはなかなか入れない。これだけのMestreが集まったホーダは初めてで、本当に勉強になりました。この会に参加出来た事に感謝致します。



今回とても印象に残った、と言うよりも、コハダン・ジ・コンタス創始者Mestre DecioのMestreが駆けつけてくれた事が何よりも凄い事であった。

すでに引退していて、病気で脚が悪くなっていた。

ずっと探していたのに今まで見つからず、偶然お孫さんを見つけた所から今回の参加が実現した。

真ん中がお孫さんのGiore氏
日本の文化やアニメが大好きで、マーシャルアーツもたくさん習っているとか。数年前からカポエイラも始めたそうだ。

ブラジルは日本と違って、貧しい地区では住所も電話番号も分からないと言う事はよくある。
出生届など数年後に提出したり、しない場合もあるとか。なので、本当の誕生日と届け出の誕生日が違うと言う事もよくあるらしい。

Mestre Decioから、お前達に私のMestreに会わす事が出来て良かったと言われた。
そして、Mestre Gioreも、自分の弟子が今ではMestreになり、更には日本にまで生徒がいると言う事を当日初めて知り、本当に喜んでおられた。


カポエイラがどうとかではなく、人と人との繋がり、そして歴史とはこうやって作られていくのかなと強く感じた一日になった。

これは既に日本でも始まっている。
師が弟子を育て、またその弟子が弟子を育てる。

師が引退してからもそれは繰り返され、日本での歴史が作られていく。

今回、Mestreはこれこそが私の目指しているカポエイラなのだと話されていた。弟子を育てる。その弟子がまた弟子を育てる。

そして、弟子が師に恩返しをする。

今、Mestre Decioは全力でMestre Gioreに恩返しをしようと動いている。
それだけではなく、Mestreの周りにいるたくさんの貧しい人々へも手を差し伸べ、援助したり助言したり、若い子たちを更生させたり、とにかくMestre Decioとはそういう人である。

私達日本人がリオの空港に来る時は必ずMestreが直々に迎えに来てくれる。弟子を預かる以上責任を持って引き受けてくれているからだ。

私達日本人は、この事に気が付かなくてはいけない。

一日限りのワークショップではない。

経験としてそれも大事かもしれないが、誰かに師事すると言うことの本質は何なのか、しっかりと理解してカポエイラと言う文化を学んでいきたいと強く感じた。

今回、私と千葉支部代表中村は何度か本部で指導を任された。
本部のお弟子さんへの指導など、、、と思いつつも、指導後、Mestreにこう言われた。

彼らにとって日本で活動している私達から指導を受けると言う事はとても刺激的だ。同じ流派内でもタイプが色々あって、個性が出る。それが大事で、色々な目線からカポエイラを見つめる事が出来るいい機会なのだと。

今回私達が滞在中に彼らに色々教える時間があった。Mestre Decioも、普段の稽古の度に皆に言っていた。私達が滞在中に色々学びなさいと。

2週間ほどだったが、この期間に来なかった者はチャンスを逃したな。後で叱っておこうと言っていた。

ワークショップとはこうあるべきだとも言っていた。

私も同感だ。

昇段式後の1週間は比較的ゆっくりとした時間が流れ、カポエイラの事もそうだが、日常的な事も色々と話が出来た。

年々話す内容の理解度も上がっているが、より深い事も話すようになってきた気がする。

それだけ責任があると言う事なのだろう。

肝に銘じておこう。細かい事はクラスで皆さんに少しづつ伝えていければと思います。


最後に、日本の状況もいまだ良くない中、今年もブラジル行きに賛成してくれた嫁と、娘達

7名もの日本人を受け入れてくれたMestre Decio,Cantoraさん、そして代行など色々サポートしてくれた日本支部の皆さん、この場をお借りして感謝の気持ちを伝えたいと思います。

ありがとうございました。 Muito Obrigado!

Mestre Samurai