20101124

ブラジルレポート Vol.20

先月渡伯したメンバーによるブラジルレポートです。


こんにちは、東京支部のRatel(ハテゥ、英語ではラーテル)と申します。

この度、幸運なことにブラジル稽古の機会を頂きました。
そのレポートを自身が感じたことを中心に書きたいと思います。

今回の旅は「日々是capoeira」と言う言葉にまとめられます。
こう感じたのには理由があり、それは日常生活において「呼吸・間」あるいは「気」と呼ばれるものを強く感じたからです。

さて、ちょっと話をそれてしまいますが皆様は「気」と聞くと、少し怪しいかも……と思うかも知れません。
しかしながら皆様は、その大小は在りますが、気を感じています。
例えば、雰囲気……今は「空気を読む」などで言い換えられているかもしれませんが、その場の雰囲気を読まなければ、発言して良い状況なのか沈黙するべき状況なのか分からず、素っ頓狂な事を言ってしまいます。
例えば、気配……気配を感じなければ、良い人間なのか悪い人間なのか判断も付かず、人間関係の構築に苦労します。
この2例を見るだけでも人は気を感じています。
ただそれは小説や漫画の様に不確かなものではなく、人が放つ微細な反応・周囲の変化など、人が生まれ成長していく中で培われる経験と勘にも近いものです。
ちなみに武術で使われる「練る気」と今回の「読む気」は少し趣が違います。
それはまた機会があれば説明いたします。

閑話休題

capoeiraに限りませんがこの「気」が日常生活を送り、そして武道をするときの重要なポイントです。

今回ブラジルに行かせて頂けると言うことで、多少ポルトガル語の勉強をしました。
しかしながら言語は一朝一夕に身に付くものではなく、現地の方と対話をする時は相手の気配を探る必要がありました。
何故なら「この方は重要な話をしているのか、他愛も無い話をしているのか?」「本気なのか、冗談なのか?」と言う簡単な判断でさえ、言葉の分からない自分にとっては難しいからです。
さらに稽古では、先生方が何処に意識をおいて練習しているのか?足先か?腰の捻転か?それ以前にこの稽古でこの練習をする意味は?……等々、日本なら言葉で言って貰い理解することも全て先輩や他の方を見て、どこに気を入れて練習しているかと言うことを読み取らなくてはなりません。

つまり稽古場のみならず、朝起きてから夜寝るまで全ての行動に対して気を配らなくてはならないのです。
そしてその上手い下手は、武道の虚実に影響し、それはcapoeiraの上手い下手にも関係します。

この「朝から夜まで気を配る」と言うのが、本当に良い稽古でした!
たった2週間の稽古では肉体的な強化は難しいです……精神的な鍛錬も少し期間が短過ぎます。
しかしながら、感覚的な発見でしたら今この瞬間でも強くなれます!
日常の些細な事にも気を配ることで、表面には現れませんが、capoeiraの根が深く強くなった様に感じます。

ブラジルに渡って最初の1週間は相手の気を探ることに一杯で、自分自身のcapoeiraに気が入っていませんでした。
しかしながら最後の方になると少しずつ気の分配の仕方が上手くなり、「彼我の意識の差異」……つまり相手はどの部位に気を入れているのか、そしてそれは自身の虚なのか実なのか?と言う判断が付くようになりました。
さらに、もし気を入れなければ、蹴りをしてもそれは相手を倒せません。しかしもし強い気が入っていれば、当てなくても相手は倒されたと自覚できます。

だからこそ、意思や気・呼吸が大切なのです。
そしてそれはあまり難しい事ではなく、重要なのは、少し考えを改めるだけでも変わってくると言うことです。
先生の言葉をお借りすると、「お茶を入れる」「食卓の塩を取る」などもcapoeiraの一部です。
日常を疎かにする事はcapoeiraを、それ以上に自分自身を疎かにする事だと教えられました。
本当に良い勉強になりました!

今回も本当に皆様にお世話になりました。
先生方には全ての基礎を、
先輩方には日常生活を営む上での要点を、
友人には人との付き合い方を、
自然には生命を、
そしてMestre Decio、カントーラさんには生きる道を教えて頂きました!

また、本部道場の方々にも本当に良くしてもらいました。
最後のホーダでのジョゴは、涙腺が弱くなり大変でした。

本当に皆さん、本当に有難う御座いました!Muito obrigado!!





東京支部 Ratel

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