20101130

ブラジルレポート Vol.21

先月渡航した神奈川支部代表によるブラジルレポートです。


神奈川支部代表 中嶋


『二度と訪れない時間』


今回で6度目のブラジル本部滞在でしたが、本部のバチザド時期に渡航したのは

初めてでした。

バチザドでは、リオ・デ・ジャネイロのカポエイラを古くから支えてこられた

Mestre達とお会いし、ジョゴする事で大変貴重な経験を積むことができました。




バチザド打ち上げは、別荘を貸し切って盛大に行われました。

広大なスペースで、みな思い思いに打ち上げを楽しんでいた時、

館長Mestre Decio が私に声をかけてくれました。

『楽しんでるか?』

と聞かれ、私は、はい、と答えました。

『これから決して二度と起きる事のない事が起きる、

二度と訪れることのない時間だ』

『どうする?』

そう聞かれ迷わず、行きます、と答えました。

私はMestre Decio と共にその場を離れました。




行くと、バチザドに出席して下さったリオを代表するMestre 二人がビリンバウ

を握り、これからまさに奏でようとするところでした。

私を含め、数人のカポエイリスタで二つの小さなホーダが作られ、

Mestre達が演奏を始めました。

二本のビリンバウ、二つのホーダ。

二本のビリンバウは同じリズムを刻み、二つのホーダは別々の歌を唄います。

カポエイリスタ達が、それぞれのホーダに、歌によってエネルギーを注ぎます。

エネルギーのこもった二つのホーダは、互いのエネルギーを邪魔する事なく、

心地よく共存し、不思議な空間が広がります。

まるでそこだけが、普段の生活から切り取られた、別の空間のような、

そんな感覚に陥りました。

それは以前にも感じた事のある感覚でした。




数年前、リオ本部の道場でのホーダで。

館長がジョゴをしているのを、見ていた時。

館長が蹴りを放った瞬間、空間がまるで切られたように歪んで見えました。

初めての体験に驚いたと同時に、そんな世界があることを知り、

嬉しくなって微笑みました。




世の中には、理屈では説明できない事が、たくさんあります。

そんな世界に触れる事ができた、本当に幸せな経験でした。



神奈川支部代表 中嶋

0 件のコメント: