20090623

支部長ブログ VOL.18

月毎に東京・千葉・神奈川支部長が記事を書いて投稿していきます。

東京支部目黒道場主 渡部

やさしさ

「本当に強い人はやさしい」
これはよく言われていることだが、メストレ・デシオを見ているとこの言葉を心底感じることができる。

カポエイラの世界でメストレと呼ばれる人と今まで何人も会ったが、やはり同じものを感じた。
しかし、メストレ・デシオからは格別のものを感じる。
それはメストレ・デシオが格別なのか、それともメストレ・デシオの家での滞在を重ね同じ時間を長く積み重ねた経験からなのか。

メストレ・デシオはとてつもなく寛容だ。
自分と比べて許せることの幅がはるかに広い。
些細なことにはもちろん、普通の人なら激怒するかもしれないことにも全く動じない。
「ダイジョウブ」と言って微笑み、ことは済む。
メストレ・デシオを本気で怒らせることができるなら大したものだと思う。



「我慢をため込みすぎると良くない。たまには吐き出さないといつかは爆発してしまう」
とよく言われる。
いろいろ感情を素直にぶつけることができる人は人間らしく生きている。多くの人がそれさえできずに苦しんでいる。
しかし、それを超越したとき、とてつもなく強い人間になれるのだと思う。


以前TVで野生のマウンテンゴリラの群れの取材番組をやっていた。
ジャングルの奥に入って行き、ゴリラが住んでいる辺りまで近づいたとき、突然若いオスが飛び出してきて取材班を激しく威嚇した。
取材班はやむを得ず引き返し、別ルートから群れに近付いた。
すると偶然にもボスゴリラが食事をしているところに出くわした。
取材班には緊張した空気が走り、誰もが覚悟を決めた。
しかし、ボスゴリラは全く動じず悠然と食事を取り続けていた。
取材班など全く無視である。
安心した取材班がこれならもっと近くで映像を撮れるのではと思って踏み込んだとき、数回胸を叩きゆっくりと振り返って銀色の背中(シルバーバック)を向けたのだった。
この行動には警告の意味があり、これ以上は許さないという意味があるのだそうだ。
別の日にボスゴリラと出会った時、ボスゴリラは一匹で群れの子どもゴリラをすべて預かり、自分の周りで自由に遊ばせ、普段子育てをしている雌ゴリラたちに自由な時間を作ってあげていた。

そんなボスゴリラが僕にはたまらなく格好良く感じた。
メストレ・デシオと同じものを感じた。


小・中学時代はよく友人からゴリラと呼ばれ腹を立てていたが、今ではマウンテンゴリラのボスのようだと言われるようになりたいと思っている。

メストレ・デシオにしてもボスゴリラにしても、このような存在には誰もがなれるわけではないと思うから憧れる。
男に生まれたからにはいつかはその境地に辿り着きたいと思っている。

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