20090109

ブラジル滞在レポート VOL.2

2008年秋、ブラジル本部でのバチザド(昇段式)に参加するために、日本支部から代表含む生徒数名がブラジル本部に渡航しました。現地で感じたことや学んだことなど、何度かに分けてレポートをアップしていきます。第二弾は目黒道場の道場主、渡部先生(Mao de Onca)です!

目黒支部代表 Mao de Onca(渡部 健志)
・滞在場所:ブラジル リオ・デ・ジャネイロ本部道場
・滞在期間:2008年9月17日~2008年10月8日
・同行・同期滞在者:Mさん(Parteira)





「Eu gosto de Sol!(太陽が好きだ!)」

2008年9月から10月にかけて3週間、今回で3度目の渡伯。
目的はもちろん本部道場の稽古に参加することなのだが、それだけだと言ってしまったらすごくもったいない。
3週間とはいえブラジルでの生活で得られるものはすごく多い。
具体的に何をかと聞かれても上手く説明するのは難しいが、日本に帰る頃には毎回カポエイラ以外にも一回り大きくなっているものを感じることができる。
 
とにかくブラジルと日本では生活の中で幸せを感じるレベルが大きく違う。
日本でなら些細に思えるようなことでもブラジルだと大きく心が揺れ動く。
それでもブラジル人に比べると自分はずいぶん感性が鈍ってしまっていると感じたり、かっこつけた性格になってしまったなと感じたりしてしまう。
 
 
3年前に初めてブラジルに行った時も今回と同じ時期だったのだが、その時と同様この時期はどうも天気が良くない。
みんながブラジルの空と言われたときに想像するような青く澄みわたった空が広がる日は数えるほどしかない。
雨が数日続くと気温もぐっと下がり、夜も毛布にくるまっていないととてもじゃないが寒くて寝れない。
やはり2007年に来た時のように、暖かくて過ごしやすい4月にすれば良かったのだろうか・・・。
 
カポエイラ仲間が道場に集まってくる時もまずは天気の話になる。
このあたりは日本での生活とあまり変わらない。
ある日、いつもと同じように天気の話から始まったときに切り出してみた。
「ブラジルに来るなら何月がいいの?」
「そりゃあ12,1,2月だな」
「その時期ってすごく熱いんじゃない?」
「ああ、40度を超えるぜ」
「マジで・・・、死にそう・・・。」
「いや、俺は太陽が好きだ」
「俺もだ。太陽は最高だ」
「俺も太陽が好きだ。熱いのは最高だぜ」
こんな感じで周りから口々に「太陽が好きだ」という言葉が出てきた。
ちなみにこの会話に参加していたのは30歳前後の大人たちだ。
 
自分にとって「太陽が好きだ」なんて言葉を発することすら想像したことがなかった。
あまりにも純粋に生きていて素直な言葉が出てくるブラジル人にはその都度その都度感動させられる。
ブラジル人は自分の住んでいる土地や環境、そして自然までも自分たちのものとするような所有意識が高い。
だからそこに起こる全てのことにいつも感動し、感謝し、幸せを感じているように思える。
 
そんなブラジルと同じような感覚が東京でも持てるようになるともっともっと社会が変わってくると思う。
自分のようにブラジルを経験した者たちにとってブラジルの空気を少しずつでも日本に持ち帰ってくることは大切な役割である。






先日年越しカポエイラが終わったあと、朝まで残っていた者たちで目黒道場の屋上から初日の出を見た。
遠くに見えるマンションの上からゆっくりと金色の光が溢れ出し、やがて真ん丸のその姿を現した。
冬の澄みきった空気の中でその光はあまりにも眩しすぎたが、その場にいた十数名誰もが目をそらすことはなかった。
しばらくしてふと振り返ると、彼方には朝日をうけた美しすぎる富士山。
 
その場には確実にブラジルと同じ空気があった。

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